いきなりですが・・・ 沼さんは頭のいい方だと思う。 そう思う理由の一つは、文章が巧いことだ。
むずかしいことをやさしく やさしいことをふかく ふかいことをおもしろく おもしろいことをまじめに
・・・とは井上ひさしの言葉ですが、 むずかしいことをやさしく書くのは、 やさしくはない。
『手帖』に見る沼さんの文章は とてもわかりやすい。 論旨が明快で、 理解がしやすい。 しかも深くて面白い。
なんでこんなことを言いだしたのかというとですね、 これから、 鈴木真吾という人の書いた
「沼正三と天野哲夫 ある覆面作家の素顔をめぐって」
という論文を批評しようと思うからです。
と申しますのは、件の論文、 沼さんの文章とは正反対に 何を言いたいのか、 さっぱり分らんのです。
まあそれは、 愚仙人の読解力の不足に負うところ大 でしょうが、 それを棚に上げて言わせて貰うと、 読解力が不足している読者にもわかるように書くのが 書き手の力量というものでありましょう。
論文は文学ではないから面白く書く必要はないが 何がいいたいのか、 論旨がわかるように書く必要はあるのではないか。 だって、「論」の「文」ですから。
まあ、名うての名文家で、 人並優れて頭脳明晰な沼さんと比べては 気の毒な気もするのでありますが・・・
つづく
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